公開: 2019年10月17日
更新: 2019年10月19日
マンハッタン計画で、米国の研究者たちによって開発されたプルトニュウム型原子爆弾に応用された爆発方式です。球状の爆弾を32の5角錐と6角錐を組合わせて構成し、その中心に小さな球状の容器に詰め込んだ核物質(プルトニュウム238)を置きます。各角錐の頂点には点火ユニットがつけられていて、全ての点火ユニットが同時に発火します。
この点火ユニットの発火によって、各角錐内で火薬が爆発し、その爆発は球の表面側から、中心に向かって進みます。この外から中心へ向かう爆薬の爆発によって球体内の圧力はどんどん増加し、中心部に到着するときには、巨大な力になり、球体の中心に置かれた核物質の容器には膨大な圧力がかかり、一瞬にして核分裂の連鎖(臨界)が生じます。
この爆縮レンズを応用すると、ガンバレル方式の原子爆弾よりも少ない核物質で、臨界を発生させることができます。そのため、爆発事故が起こる可能性も低くなり、天然ウランを重水の中で核分裂させる原子炉で、核分裂後に残るプルトニュウムを核分裂を起こす物質に利用しやすいため、この方式が米国軍の利用した原子爆弾の基本的な設計になってゆきました。長崎に投下された原子爆弾のファットマンは、この爆縮レンズを応用したプルトニュウム型原子爆弾でした。